所得控除の種類⑥勤労学生控除と学生バイトに必要な扶養の知識
1)勤労学生控除
納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができる
【要件】
勤労学生とは、その年の12月31日時点で、以下の3つの要件のすべてに当てはまる人
①給与所得などの勤労による所得があること
②合計所得金額が85万円以下で、かつ①の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
③特定の学校の学生、生徒であること
学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
※それ以外の学校は学校に確認を!
給与所得だけの場合、給与収入の額が150万円以下であればよい
給与所得控除65万円を差し引くと所得金額が85万円以下となる
【控除金額】
所得税 27万円
住民税 26万円
【手続き】
給与所得者の場合は、扶養控除等申告書に勤労学生控除に関する事項を記載して勤務先に提出
ただし、2か所以上でバイトしている場合、この方法だと100パーセントカバーできないため、自身で確定申告をする必要はある
★所得税
2025年税制改正により、合計所得金額が85万円があっても、基礎控除額95万円まで引き上げられたため、全部差し引けてしまうため、特に意味はなくなった
★住民税
課税ラインが110万円(※自治体による)のため、給与収入が110万~150万円の者にとっては意味を持つ
例)給与収入140万円の場合
給与所得控除 65万円
基礎控除 43万円
勤労学生控除 26万円
140万-65万-43万ー26万=課税所得6万円
※住民税所得割の税率は10%均一のため2.6万円節税となる
バイトを掛け持ちしている場合
基本は合算
年末調整は1か所でしか行えない
2か所以上通算する必要がある場合は確定申告となる
(2か所で源泉徴収されている場合等)
【未成年者】
18歳未満の未成年者は、
合計所得金額135万円(給与収入でいうと約200万円)までは住民税は非課税となる
2)扶養について
【税法上の扶養】
その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の人
合計所得金額85万円以下(給与収入でいうと150万円以下)なら親などの特定親族扱いとなったうえ、その親の所得控除(特定親族特別控除)最大63万円控除の対象となる
※85万円以上になっても控除は受けられるが、控除額が少しずつ減っていく
ちなみに、19歳以上23歳未満の扶養をしている子を持つ場合、
扶養者たる親は、所得税だけでも63万円(通常は38万円)という大きな控除を受けられる
例)所得税率20%だと126,000円の所得税額に相当
住民税は45万円控除につき、45,000円の住民税額に相当
これが受けられなくなるのはイタイため、通常は扶養の範囲内で収めようとする
150万円の測り方は、
1月~12月の間に「受け取った」額の合計
1月「分」~12月「分」ではないことに注意
※つまり給料日ベースということ
【社会保険上の扶養】2025.10.1から
その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の人
従来は130万円未満だった基準が150万円未満に変更
これで、税金の基準と社会保険の基準が一致した
何をもって150万円とするかについては、
親などが加入している健康保険組合・協会けんぽによる
※基準はまちまち
例)
月当たり125,000円を上限とするところもあるので注意
■いわゆる106万円の壁(週20時間以上)については、昼間学生は対象外(入る義務がない)
■原則である4分の3要件(週約30時間以上)を満たすと学生であっても厚生年金・健康保険への加入義務がある
■扶養ラインの150万円(130万円)を上回った場合、自ら国民健康保険に加入義務が生じる場合がある(国民年金は20歳から)
【留意点】
■150万円ルールはあくまで誕生日ベースなので、
例えば現役大学1年生の早生まれ(2007.1.2生まれ以降)は対象外
1浪大学4年生(1.1生まれまで)も対象外(12/31までに23歳になるため)
⇒その場合は、一般的な扶養控除となる(給与収入123万円まで)
■年齢で決まるため、大学生である必要はない
