ここでは、第1号被保険者(国民年金保険料を納める人)のことを中心に扱います。
老齢基礎年金など国民年金の給付関係については、老齢年金障害年金遺族年金、それぞれのページをご覧ください。

国民年金被保険者の種類

国民年金被保険者は主に以下の3種類に分かれます。

第1号被保険者 自営業などの方。第2号でも第3号でもない方
第2号被保険者 会社などにお勤めの方
第3号被保険者 第2号被保険者に扶養されている配偶者の方

第2号に該当するかどうか⇒第3号に該当するかどうか⇒それ以外の人は第1号 といった順で判定していきます。

第1号被保険者

第2号被保険者、第3号被保険者ではない、日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人
自営業者・農業者とその家族、学生、無職の人など

【国民年金保険料】
本人、世帯主、配偶者の誰かが納める

第2号被保険者

原則、20歳~65歳未満の厚生年金加入者

【留意点】
65歳以上の厚生年金加入者は、第2号被保険者ではない
20歳未満の厚生年金加入者も、第2号被保険者ではない

【保険料】
厚生年金の保険料は、国民年金とは異なり、給料から差し引かれる(天引き)の形です。
さらに、厚生年金保険料の中に国民年金保険料も含まれているというイメージです。

第3号被保険者

第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者です。

【留意点】
厚生年金加入者に扶養されている=第3号、ではないことに注意
例)夫66歳(厚生年金加入者)、妻58歳(無職)だった場合、妻は第3号ではなく第1号となる

【保険料】
納付義務なし

国民年金第1号被保険者の保険料納付義務

国民年金第1号被保険者には、国民年金保険料の納付義務があり、もし本人が納付できない場合は、その配偶者や世帯主などが連帯して納付する義務が課せられています。

なお、国民年金保険料(2023年度)の金額は、月16520円であり、
支払いは、翌月末日までに払う必要があります(納付期限)。

そして、納付期限を過ぎても支払っていない状態のことを「未納」状態と呼びます。
現在では、未納状態になると割と早い段階で、電話での支払い督促が始まります。

国民年金保険料の前納について

国民年金保険料の前納とは、本来、翌月末日までに支払えばよい国民年金保険料を前もって納めることです。 見返り(メリット)として概ね前納月数に応じた割引が受けられれます。

前納の種類

通常、毎月4月に送られてくる国民年金保険料の納付書は、1年前納、6か月前納(上期・下期)であるが、それ以外に、2年前納、1か月前納(当月末が納付期限となる)、さらに、あまり知られていませんが、任意月からの前納(2か月~23か月まで可能)があります。
※任意月からの前納は、必ず年度末(3月)までとなります

前納金額(割引額)

前納にさえすれば、例え1か月前納でも何らかの割引はありますが、やはり最も大きい割引額なのは、2年前納となります(その中の口座振替がいちばん割引率が高い)

例)2024年度(割引額は納付書・クレジット払いとの比較)

納付書口座振替クレジット割引額
2年前納398590円397290円398590円16590円
1年前納200140円199490円200140円  4270円
6か月前納 101050円 100720円 101050円 1160円
前納の申込方法

送られてくる封筒に入っている納付書の期間・金額通り納めるのであれば、それでOKです。

ただ、例えば5月中旬に国年加入した場合、後から送付される納付書は、仮に5月中に到着したとしても、前納分納付書は、基本6月~翌年3月分までしか封入されていない(納付期限が当月末であり期限まで時間がないため)

5月分~翌年3月、あるいは5月(6月)分~翌々年3月までの納付書が必要であれば、手続時に強く要請すること(それでも封入されてこない場合はありますが)

留意点

前納の納付期限は、かならず当月末日です。その日を過ぎた場合、遡っての前納は受け付けられておりません。その場合は、当月分は通常払いをして、その翌月分からまた前納は可能となります。よって、前納分の納付書には「使用期限」という文言がつかわれています。

付加保険料も前納可能(ただし付加の申込みが必要)

納付方法

納付方法は、大きく4種類です。①現金納付 ②電子納付(ペイジー)③口座振替 ④クレジット
③④については、期限が決まっており、たとえば4月から開始なら2月末が期限です。その後は10月開始(8月末が期限)まで待たなければなりません。(任意の時期には切り替わらない)
口座振替の場合、前納の種類は、2年、1年、6か月、1か月 のみとなります。

2年前納

2年前納の申し込み方法

【口座振替・クレジットカード納付】
2月末日までに口座振替納付(クレジットカード納付)申出書にて申し込む
申出先:年金事務所(郵送可)

・ねんきんダイヤルなどに申出書を請求する
・年金機構HPより申出書をダウンロードする 等

【現金納付】
4月末日までに一括して納付する必要がある
通常送られてくる納付書には2年前納分は含まれていないため、自分で、2年前納用納付書を請求する必要がある

請求先:年金事務所
    ねんきんダイヤルなどのコールセンター

2年前納のその他留意点

1)任意加入でも2年前納はつかえる
2)例えば63歳6か月で2年前納を申し込んだ場合は、自動的に65歳までとなる

2024年3月から口座振替・クレジットカード納付の前納方法が変わります

上に書かれているとおり、これまでの口座振替・クレジットカード納付の2年前納・1年前納は2月末が期限でした。ところが、2024年3月から、3月に申込んだ場合は23か月前納、4月に申し込んだ場合は22か月前納といった形に変わります

前納と社会保険料控除

以下の2つの方法が「選択」可能です。

1)あくまで支払った年の社会保険料控除対象とする
2)納付した額を分けて申告も可能

 2023年4月~2025年3月の2年前納の場合
 ①2023年分(4月~12月)
 ②2024年分(1月~12月)
 ③2025年分(1月~3月)

国民年金保険料の免除制度

国民年金には、経済的事情により納付困難な場合などに対し、各種免除・納付猶予制度を用意しています。大きく、申請免除・法定免除に分かれます。

申請免除

申請して承認されると、一部または全額保険料の支払いが免除・納付猶予されます。
4分の1免除・半額免除・4分の3免除・全額免除・納付猶予があります。

本来、国民年金第1号被保険者には、国民年金保険料の支払い義務があります。
(2023年度保険料額 16,520円)
これを一部または全部免除(支払猶予)するものです。

【免除の判定基準】

本人、配偶者、世帯主の所得が、それぞれ「全員」一定額以下だと全額免除の対象となります(合算ではない)

・4分の3免除、半額免除、4分の1免除も同じです。
(基準となる所得の金額が変わるだけ)

納付猶予

【免除と同じ点】

•保険料を支払う義務がなくなること
•免除とは別の申請手続きがあるわけではありません(通常まとめて判定される)

【免除と異なる点】

•納付猶予期間は、将来の年金額に全く反映されないこと
•所得の判定対象が、本人、配偶者だけになる(世帯主は除かれる)

金額に反映されないなら納付猶予にする必要ある?

「必要はあります」

払ってはいませんが払ったことになるため(=年金加入期間としてカウントされる)

⇒老齢年金受給資格を得るための期間としてカウントされます
⇒障害年金、遺族年金の受給要件(納付要件)として認められます

申請方法

【ルート】
①市役所などへ行く
②年金事務所へ行く・郵送
③マイナポータルから申請【最近できた方法】

【必要なもの】
通常、申請書類のみ(身分証明書が要る場合も)

【時期】
いつでもよいが、年度の考え方は7月~翌年6月
継続申請希望しておけば、改めての申請は不要な場合もあります。

独特な国民年金免除のときの年度の考え方

国民年金免除の「年度」は7月から翌年の6月まで
(4月~翌年3月ではありません)

よって、こういうことがよく起きます。

例)2023年4月に免除申請した場合(2023年3月までは納付済)

2023年度(2024年3月まで)の免除申請をしたと思いがち⇒この場合は、2023年6月分までの申請をしただけであり、2023年7月1日以降再度の申請が必要です。(継続の場合除く)

特例免除について

代表例「失業特例」
本人、配偶者、世帯主のいずれかが失業した場合申請可能です。

【ポイント】
・失業した人の所得を0円として審査⇒全額免除(納付猶予)になりやすい
・失業の定義は、自己都合でもよく、いわゆる退職全般、自営業の廃業も含まれる
・継続申請の対象外(毎年申請が必要)

【添付書類】
失業したことが分かる書類(離職票など)が必要となります。

さかのぼっての免除申請

2年1か月前まで(時効にかかっていない期間)
※ただし、すでに納付済の期間は免除申請不可

例:2023年7月に免除申請⇒2021年6月以降

【最大4枚必要な申請書類】
2021年6月       ⇒2020年度
2021年7月~2022年6月⇒2021年度
2022年7月~2023年6月⇒2022年度
2023年7月~      ⇒2023年度

失業特例の「失業」とはいつのことか

事由が発生した前月から事由が発生した年の翌々年の6月分まで申請可能

【例】

2022年3月失業⇒2022年2月から2024年6月分まで
①2022年2月~2022年6月
②2022年7月~2023年6月
③2023年7月~2024年6月
と、3度の申請が必要とはなる

免除期間中に再就職し、再び失業

再度申請ももちろん可能だが、審査なしに再び同じ免除カテゴリーに戻ることができます。

【例】

2023年7月~2024年6月までの全額免除承認
2023年10月1日再就職により厚生年金加入(第2号被保険者)
2023年12月21日退職により厚生年金喪失(第1号被保険者に戻る)
⇒2023年12月から再び全額免除に

※年金事務所に申出を

免除は取消可能

一度承認された免除を取消希望することができます。

取消申請した日の前月分以降が対象
※年金事務所に申出を

納付希望なのであれば、そのままにしておいて、順次「追納」していくという方法もとれます

法定免除

生活保護や障害年金受給者(2級以上)の方が対象です。申請は不要で法的に当然に法定免除となります(ただし届出は必要)

【大前提】
障害年金受給者(1・2級)は、半ば自動的に、国民年金保険料の納付については「法定免除」扱いとなります ※ただし届出は必要

例外①法定免除ではなく、納付希望の場合

【そのまま納付ルート】
法定免除の届出用紙に、納付希望の意思表示ができる欄あり

【追納ルート】
一旦「法定免除」の届出をして、法定免除状態にしたうえで、改めて「追納」の手続きをとる

例外②過去にさかのぼって障害年金が決定した場合


過去にさかのぼって法定免除となるため、納付済保険料は返金されるのが原則であるが、納付済みのままを希望する場合は、それも可能となりました。

なぜ納付を希望するのか?

・障害年金は更新制 何年かに1度障害状態確認届を提出
それによっては、障害年金を打ち切られてしまう可能性
・法定免除では、その期間分の老齢基礎年金は本来の額の2分の1にしかならない

以上の理由から、保険の意味を込めて、法定免除ではなく、納付もしくは追納を選択する人もいます。

【留意点】

更新制ではない障害年金の場合(永久認定)
今後障害状態確認届が送られてくることはないため、更新ではない。→ずっとその障害年金の等級の状態が確定
障害基礎年金2級であれば、老齢基礎年金の満額を下回ることはないため、保険料を納付して、あえて保険をかける必要はないともいえる(例外:振替加算など)

将来受け取る年金額を増やす方法として

国民年金には、将来の年金受取額を増やす方法として、また受給資格期間を満たす方法として、「任意加入」と「付加年金」というしくみを用意しています。

任意加入

国民年金への加入義務は60歳までですが、さらに65歳までの間、将来の年金額を増やすことを目的として任意加入をすることができます。
また、加入義務のない海外在住の日本人も、任意加入をすることができます。

そのほか、
・老齢基礎年金の繰上げ支給を受けていないこと
・20歳以上60歳未満までの保険料の納付月数が480月(40年)未満
・厚生年金保険、共済組合等に加入していないこと

想定されるケース

老齢基礎年金を満額にしたい(近づけたい)

①大学生だった人(以前は20歳以降でも任意加入で未加入者が多かった)
②主婦だった人(以前は第3号被保険者の制度がなく任意加入だった)
③(海外在住の場合)将来、日本の老齢年金をしっかり受け取りたい(海外在住でも受給は可能)

どのくらい増えるのか?

1か月保険料を納付するごとに、795000/480≒1650円程度
年金額が増えていくイメージ

留意点

要件を満たせば、付加年金を付けることも可能(毎月400円の保険料)

・申込のあった月からの加入となり、遡って加入できない(一般的な国民年金は2年遡及することが可能)
・保険料の納付方法は、口座振替が原則
・申込は、お住まいの市区町村か年金事務所

付加年金

付加年金は、通常の国民年金保険料に加え、1か月あたり400円の付加保険料を納付することにより、将来の老齢基礎年金の受取額をさらに増やそうとするものです。1か月納付するごとに年金額が200円ずつ上がっていきます。計算してみると、2年でモトが取れる計算になります。老齢基礎年金本体がおおむね10年でモトが取れる計算ですから、大変有利な制度になっています。

例)
480月(40年)付加保険料を納付すると、480×200=96000円 老齢基礎年金額は増加する

【申込方法】

必ず自分から申し込む必要がある
自動的に送られてくる納付書の封筒には「付加分」を支払える納付書は入っていない
年金事務所、市区町村等にて申込用紙に記入し申し込むと、付加分が加算された納付書が送られてくる

もちろん
・ダウンロードして申込用紙に記入のうえ送付
・ねんきん加入者ダイヤルに申込用紙送付依頼 も可能

【留意点】

①申し込んだ当月分からしか付加保険料は納付できない(過去にさかのぼることができない)
②国民年金基金加入者は付加分を納付すること不可(どちらか一方を選択)
③個人型確定拠出年金(iDeCo)との併用は可能

【できること】

①2年前納をはじめとする前納にも対応している(割引あり)
②任意加入時に付加分を上乗せすることも可能
③前納分納付済みの場合も、後から付加保険料のみ支払うことも可能(申込月以降)

国民年金保険料を追納する

国民年金保険料の追納とは、免除や納付猶予が認められている対象月について、遡っての納付を行うことです。申請をして、審査の結果承認を受ける形になっています。

追納のメリット

例えば「全額免除」であれば、そのままだと半額になってしまう老齢基礎年金が通常どおりの受取額になります。
 795000円×1/480=1656円/月
・「納付猶予」「学生納付特例」であれば、そのままだと0円の老齢基礎年金が通常どおりの受取額になります。
・追納した国民年金保険料も全額「社会保険料控除」の対象となります。

追納の留意点

追納できるのは10年後の同じ月まで
例)2023年8月に追納できるのは、2013年8月分以降
・追納できるのは10年後の同じ月の末日
・納付書払いしかできない
・原則、前の月(古い月)の分から連続して追納する必要
ただし、追納するとより有利な納付猶予、学生納付特例分があれば、考慮される
・しばらく経過すると、追納時に加算金がつき、毎年毎年その加算率は高くなっていく(早めに追納した方が有利)
例)2020年10月分全額免除
  2021年度に納付(4月~3月)加算金なし
  2022年度に納付(4月~3月)加算金なし
  2023年度に納付(4月~3月)加算金あり

追納の申請方法

追納申込書によって申請し、承認されると納付書が発行されます。(基本、納付書は郵送なので、時間には余裕をもって)
現時点では追納は現金払いのみなので、納付書がないと納付することができません。
期限ぎりぎりの時は、即日発行できないか、年金事務所とご相談ください。
追納用納付書は、使用期限は3月末であることが多くなっています。
(理由)新しい年度になると加算金額が変わるため
新年度(4月以降)になると使用できなくなりますが、一度追納承認を受けた期間については、改めて追納申請をする必要はなく、納付書の再発行を依頼すれば、新しい加算金額込みの納付書が発行されます。

国民年金基金

名前は国民年金とついていますが、少し種類が異なります。
国民年金加入者のための「基金」というイメージです。

自営業の方など国民年金第1号被保険者のための上乗せ年金であり、
会社員(2号)には厚生年金がある(企業年金がある場合も多い)が、自営業(1号)には厚生年金がなく、さらには企業年金もないため、その分を補うのが目的として設立されました。

全国国民年金基金(旧・地域型ちほとんどの旧・職能型とを合わせて発足)
職能型国民年金基金(業種、業界ごと 現在3つのみ残る)の2種類があり、内容は、どちらでも基本同じです。

給付のイメージ

【例】30歳の人が終身A型で1口加入した場合(掛金払込期間 60歳まで)

 掛金:月あたり10,300円
 年金額:65歳から年24万円(終身)

※掛金額は、給付の型、加入口数、加入時の年齢・性別によって、大きく異なります。

国民年金基金加入のメリット

掛金(上限月あたり68,000円)は、全額社会保険料控除の対象(対して、生命保険料は全額控除の対象にならない)
なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)との併用は可能ですが、あわせて上限68,000円です。

国民年金基金に加入できる人

第1号被保険者と任意加入者
※付加年金と同時加入はできない(どちらか一方)

7種類の給付

①終身年金A型 65歳支給開始 終身(15年保証)
②終身年金B型 65歳支給開始 終身(保証期間なし)
③確定年金Ⅰ型  65歳支給開始 15年確定
④確定年金Ⅱ型  65歳支給開始 10年確定
⑤確定年金Ⅲ型  60歳支給開始 15年確定
⑥確定年金Ⅳ型  60歳支給開始 10年確定
⑦確定年金Ⅴ型  60歳支給開始 5年確定

控除証明書

年末調整や確定申告に用います控除証明書について解説しています。