生命保険とは、自分の死亡や病気、ケガ、介護の備えをすることで自身や家族を守る生活保障の仕組みです。大勢の人が生命保険会社へ保険料を支払い、保険料を負担しあうことで、万が一のときに保険金や給付金を受け取ることができます。(相互扶助)

2023 年8月16日更新

生命保険の基本の形

生命保険の種類の話に入る前に、生命保険には基本の形があり、それが3種類であることが分かれば、生命保険が理解しやすくなりますのでまとめてみました。

  1. 死亡保険 保険の加入者が死亡したときに保険金が支払われるもの
    定期保険 終身保険
  2. 生存保険 保険の加入者が保険期間満了時に生存していた場合に保険金が支払われるもの
    個人年金 貯蓄保険 こども保険
  3. 生死混合保険 死亡保険と生存保険を組み合わせたもので、保険の加入者が一定の保険期間内に死亡したときは死亡保険金を支払い、保健機関満了まで生存したときは満期保険金を支払うもの
    養老保険 変額保険(有期型)

生命保険の種類

次に、生命保険の目的ごとの種類として整理してみると、

・死亡保険
死亡したとき、または所定の高度障害状態になったときに支払われるもので主に以下の3つの種類があります。

  1. 定期保険
    保障期間が定められている保険。解約時に払戻金がないもしくはほとんどない「かけ捨て型」がほとんどです。
  2. 養老保険
    保障期間が定められていますが、期間が満了すると満期保険金を受け取ることができる点が、上の定期保険と異なる点。
    (本来は生死混合型ですが、死亡時にも保険金が支払われるのでここにも入れておきます)
    死亡保障と貯蓄機能を併せ持っていますが、その分保険料は高めです
  3. 終身保険
    保障が一生涯続く保険。終身ですので満期という概念はありませんが、解約返戻金が相当見込まれるのが特徴の1つです。
    被保険者が死亡した場合、必ず遺族は死亡保険金を受け取ることができます

以下の保険種類には、厳密には第三分野と呼ばれる領域に含まれるものもありますが、わかりやすさを重視し、整理してみました。(第一分野:生命保険、第二分野:損害保険)

・医療保険
病気やケガによる入院・所定の手術などに対して支払われる。公的健康保険でカバーしていない部分もカバーされる点がメリット。

・がん保険
がんと診断され、がんで入院・手術したときなどに給付金が支払われる。

・学資保険
子どもの教育資金を準備するための保険で、進学時、満期時などに学資金が支払われる。つまり貯蓄性の高い保険商品です。

・収入保障保険
被保険者が死亡した後、一定期間に渡って年金が支払われる。毎月の収入のように生活費を受け取ることができることから「収入保障」と呼ばれます。

・個人年金保険
貯蓄型(積み立て方式)の年金保険です。
→詳しくはこちらのページをご覧ください

・介護保険
介護が必要になった場合の必要資金や生活費などの備えを目的とする。日本には「(公的)介護保険」がありますが、公的介護保険ではまかなえない部分に備えたいと考える方向けです。要介護状態が継続した場合に一時金や年金を受け取れるタイプと、公的介護保険の上乗せとして一時金や年金が受け取れるタイプがあります。

・特約組立型保険
文字通り主契約が存在せず特約のみで構成されている保険です。医療保険、就業不能保険などのみで組み立てることによって、無駄のない構成にすることが可能です。

定期保険と終身保険

ここでは定期保険と終身保険について、その意味合いの違いを主にご案内いたします。

  1. 定期保険
    決まった時期までの保障
    よって掛金は安く、解約返戻金はないに等しく、いわゆる掛け捨て型といわれるゆえんとなっています。また定期保険の保険料は、若いときに契約すればより安くなります。1つのイメージとして、30歳時加入で30年満了保険金額3000万円の場合、月々の掛け金は11000円程度です
    (10年満了の場合、掛金は6000円程度となりますが、更新時には掛金の額は大幅に上がります)

    逓減定期保険、逓増定期保険もこのグループです。

    逓減定期保険:時間が経つにつれ保険料は変わらないが、保険金額が減っていくタイプ
    逓増定期保険:時間が経つにつれ保険料は変わらないが、保険金額が増えていくタイプ

収入保障保険

定期保険の一つですが、通常の定期保険では一時金として死亡保険金が支払われるのに対し、収入保障保険の場合には保険期間満了時まで年金として支払われるという点に違いがあります。収入保障保険では、年金の受け取り回数に最低保証が設けられている。保険料払込期間内に被保険者が死亡した場合、年金の受け取り回数が最低保証期間分に満たない場合は、満期を過ぎても最低保証分に達するまで年金を受け取ることができます。一般の定期保険と同じく満期保険金はなく、被保険者の死亡などにより年金の支払事由が生じた後は、保険料の払い込みが不要となる。

2.終身保険

文字通り一生涯保障は続きます。
よって掛金は定期保険よりは高めですが、解約返戻金もそれなりにあります。(払込保険料の総額を上回る場合もあります)解約返戻金があるため、養老保険ほどではないが一種の貯蓄としても機能することになります。1つのイメージとして、35歳時加入で65歳で払込満了保険金額1000万円の場合、月々の掛け金は3万円弱です。

定期保険特約付き終身保険

定期保険特約付き終身保険は、文字通り終身保険をベースとしてそれに定期保険の要素が付加された保険です。
終身保険のうち、一定期間のみ保険金額を上乗せするための保険となります。
実際には、定期保険部分は更新ごとに保険料が大きく上がったり、定期保険特約が終了した後は、終身部分が少なすぎて十分な保障が得られないなどの問題が生じたため、一時は主力商品であったが、現在は下火となっています。

積立利率変動型終身保険

終身保険の保険金額と解約返戻金は、契約時に決定するものですが、インフレの場合価値が目減りする可能性があるため、積立利率変動型終身保険では、定期的に積立利率を見直すことにより、保険金額や解約返戻金を変更するものです。
ただし、最低保証はありますが、通常の終身保険よりは低くなっています。

利率変動型積立終身保険

利率変動型積立終身保険では、保険期間を第一保険期間、第二保険期間とし、第一保険期間では、積立部分を主契約として、特約部分(定期保険など)を付加し、終身保険と特約部分の保険料を払い込み、終身保険の保険料が積立部分にまわります。第二保険期間では、積み立てた部分をもって終身保険に移行するという構造になっています。保険料払込期間中は死亡保障はなく、保険料払込期間満了後、そこからはじめて生涯保障となります。
また、「アカウント型」でもあり、保障部分と積立部分が明確に区別されている。アカウント型では積立部分を保障に回すことなどにより保険料の増額や転換をせずに保障を増やすことは可能であり、また、積立部分に資金があるときは、それを保険料にあてることができ、保障額や保険期間を変更することなく、保険料を減らすことが可能です。
更新時に各種特約の保険料が上がる場合、積立部分の金額を保障に回すことで、保険料を更新前と同じにすることができる。
保険料払込期間満了後に、積立部分を終身保障に移行したり、年金、一時金として受け取ることも可能です。

養老保険

養老保険は、一定の保険期間内に亡くなれば死亡保険金が支払われ、保険期間満了時に生存していれば、同額の満期保険金が支払われます。
よって、死亡保障と貯蓄の両方の性質を持ちます。解約返戻金も高めです。ただし以上のことから、掛金もまた高めです。

医療保険

ここでの医療保険は、民間の医療保険のことを指します。公的医療保険(協会けんぽや組合健保、国民健康保険など)を補完するものです。例えば入院時に、公的医療保険で保障される分以外に食事代や差額ベッド代などの多額の費用がかかる場合があります。こうした分をカバーする種類の医療保険があります。また、いわゆる保険のきかない先進医療にかかる費用を補完する医療保険もあります。他にも数多くの医療保険が存在します。

種類

入院給付金 手術給付金 など

無選択型・引受基準緩和型(限定告知型)

無選択型:医師による診査や告知書による告知が不要で、病歴などで加入ができなかった人が対象です。
引受基準緩和型:契約時に医師の診査はなく、告知項目も少な目で、通院中の人でも加入可能。保険料は割高になるが、通常は生命保険への加入が難しい人でも加入可能としました。医療保険のほかに終身保険もあります。

認知症保険

認知症保険には、簡単な告知項目に問題なければ加入できるタイプもあります。
ただし加入してからしばらくは保障のない待機期間が設けられているのが通例です。
認知症と診断されたら一時金タイプが給付されるタイプが主流(軽度認知障害と診断確定されると、認知症一時金の一部が支払われる商品もあります)
保険料は月3000円前後が多いです。

がん保険など(生前給付型保険)

がん保険は、特定の疾病(がんなど)にかかったときに、保険に加入している人本人に給付金を支払うものです。そもそも医療保険でカバーされる範囲(入院・手術をした場合に払われる)もあるのですが、それを超えて、入院日数に制限がなかったり、がんと診断された時点で受け取れる保険(診断一時金)、先進医療特約などがあることが特徴です。

所得補償(就業不能)保険

所得補償保険は、ケガや病気による就業不能による収入減をカバーする保険です。会社員等ですと労災、傷病手当金といった補償制度が充実していますが、そもそも個人事業主の場合労災にすら入れない場合が非常に多く、また国民健康保険には傷病手当金制度はありません。よって、こうした保険への加入も一考の余地があります。一方収入保障保険(ほしょうの字も変わります)となると、例えば一家の大黒柱が亡くなった場合などに支払われる保険であり、生命保険の一種ということになります。

変額保険

変額保険とは、死亡保険金の基本保障はあるものの、保険料の運用実績により保険金が増減する保険です。資産運用リスクがある点が、他の生命保険商品とは異なる点です。終身型と有期型があります。

生命保険の見直しなど

中途増額

中途増額とは、現在の契約に定期保険を特約として上乗せし、死亡保障だけを大きくするもの

(契約)転換

契約転換とは、既契約の転換価格(解約返戻金や積立配当金など)を新たに加入する保険の保険料の一部に充当し、既契約から新規契約に乗り換えるもので、要は下取りといっていいものです。転換時には、その時点の予定利率が適用になるため、前の保険より予定利率が下がる場合があるので注意が必要です

生命保険と税金

1 満期

 ◆保険料の支払人と受取人が同じ場合
 一時金→一時所得となるため所得税等 年金→雑所得となるため所得税等 がかかります

 ◆保険料の支払人と受取人が異なる場合
 贈与税がかかります

2 死亡保険金

 ◆保険料の支払人と死亡者が同じ場合
 相続税がかかります

 ◆保険料の支払人と死亡者が異なる場合
 贈与税がかかります

3 解約返戻金

 ◆契約者、被保険者、受取人とも本人の場合
 一時所得となります

4 支払保険料にかかる税金

 生命保険料控除の対象になります

 ※2012年1月1日以後に締結した保険についての所得控除
 1年間で支払った生命保険料総額 - 剰余金・割戻金の額 が2万円以下の場合は全額が対象
                              2万円超4万円以下の場合 例)4万円なら3万円が対象
 生命保険料控除の額は4万円が上限

当サイトの考え方

あくまで当サイトの考え方ではありますが、以下のように考えています。

  • 損害保険は基本加入すべき(もちろん種類によります)
  • 医療保険について必要か不要かはケースバイケース
  • 生命保険は時期による(加入すべき時期はある)

まず保険とは、自分の力ではまずカバーすることができないアクシデントのために入るものだと考えています。その際たる例が自動車保険。億単位の賠償金はなかなか払えるものではなく、一方でそんなにしょっちゅう起きる事案でもない。このようなケースに保険加入はきわめて有益だと考えています。

一方医療保険については、やはり高額療養費の存在は大きいです。確かにカバーされない範囲はありますし先進医療はそもそも公的保険適用外です。ポイントはそのリスクをどこまで取るかということだと思います。確かに安心度は増すかと思いますが、日々の生活は金銭面で確実に窮屈になるともいえます。どちらを取るかは個々の価値観の問題でしょう。ただもし何かあった際まとまった出費は家計に痛いのは確かです。1つの考え方として、貯蓄額が一定額以上になるまでは医療保険を中心に掛けられるのも有効と考えます。

同様のことが生命保険全般にもいえます。ここでも公的年金の存在が大きいです。公的年金である障害年金、遺族年金ともに日本の年金はかなり充実しているといっていいでしょう。また労災にも年金制度はあります。よく公的年金等でカバーされる以上の生命保険を掛けられている方がいらっしゃいますが再考の余地があると考えます。ただ遺族年金などの公的保障だけでは不十分だと考えるならば、その差額を埋められる分だけ加入する、あるいは一定の貯蓄額となるまでの間は、掛金が比較的低額である掛け捨て型の定期保険に加入しておくという考え方もあります。

なお、マネープランについては、以上に記したのはあくまで当サイトの考え方でありあまたある考え方の1つに過ぎません。最終的にはご自身のご判断のうえ決めていただくようお願いいたします。当サイトではみなさまの判断結果について一切責任は負いかねます。