所得控除の種類④配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除
所得控除の種類第4回めです。今回はまず配偶者控除からです。
1)配偶者控除
配偶者控除は、納税者が配偶者を扶養している場合に、一定の条件を満たすことで所得から控除を受けられる制度
【控除対象配偶者となる人の範囲】
①法律婚
②納税者と生計を一にしていること。
③年間の合計所得金額が58万円以下であること。
給与のみの場合は給与収入が123万円以下 2025年改正
④青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
◎所得税

◎住民税

2)配偶者特別控除
配偶者に58万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合がある
【要件】
①控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること。
②配偶者が、次の要件すべてに当てはまること。
イ 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ 控除を受ける人と生計を一にしていること。
ハ その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ 年間の合計所得金額が58万円超133万円以下
③配偶者が、配偶者特別控除を適用していないこと。
④配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと
⑤配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと
【金額】※所得税のみ
合計所得金額95万円以下⇒最大の38万円控除
給与収入でいうと160万円(2025年より10万円引上げ)
※住民税の最大控除額:33万円

■対象者の収入は、103万円から123万円へと拡大した(給与の場合)
■ただし従来から配偶者特別控除をつかっていると思われるため、影響は限定的
■配偶者特別控除(の最大控除額)を受けられる金額は
150万円から160万円へ拡大しているが、社会保険の130万円の壁があるため影響は限定的(60歳以上の方には恩恵あり)
3)扶養控除
納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられる
【控除対象扶養親族】
(1)配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人
(2)納税者と生計を一にしていること
(3)年間の合計所得金額58万円以下(給与収入123万円以下)
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと
◆特定扶養親族
19歳以上23歳未満の扶養してる親族
◆老人扶養親族
70歳以上の扶養してる親族
◆同居老親等
老人扶養親族のうち、本人や配偶者の直系尊属(父母、祖父母など)で、本人や配偶者との同居を常としている方のこと
【所得税】

【住民税】

■対象者の収入は、103万円から123万円へと拡大した(給与の場合)
■うち、いわゆる大学生年代と70歳以上は加算されるため、モレのないように
■老人の中でも、父母、祖父母と同居していたらさらに加算できるので忘れず申告を
■123万円までなので、130万円である社会保険の扶養ライン以下なので、影響がない
4)特定親族特別控除
納税者に、生計を一にする19歳以上23歳未満の親族等で、
合計所得金額が一定金額以下の「控除対象扶養親族に該当しない者」がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられる
◆合計所得金額85万円以下(給与収入では150万円)で最大の63万円控除となる ※住民税の最大控除額は45万円

■対象者の収入は、103万円から150万円へと拡大した(給与の場合)
■これに合わせ10月より健康保険上の扶養上限も150万円に揃えられたため問題なし
■あくまで誕生日ベースなので、同じ大学1年生でも、今回の対象外となる人もいる(2007年1/2以降生まれ)
■16歳以上の高校生も一般の「扶養控除」の対象
所得控除第4回めは以上となります。
