【年金】72歳で請求し忘れに気づいたら

直近の年金制度改正はほぼ昨年2022年4月施行されており、例えば繰下げ請求の上限が70歳から75歳に延長されていたりしますが、この2023年4月から地味にルールが変わった部分があります。

それが、タイトルにもある通り、もし72歳で請求し忘れに気づいたらどうなるか?です。
(ちなみに特別支給の老齢厚生年金は請求済とします。仮にしていなくても結論は同じですが)

【従来】もし72歳からの繰下げ請求を選択しない場合は、本来の受給開始年齢である65歳からの請求をし忘れたと判断され、現在からさかのぼって5年間分の年金が増額なしで支払われ、概ね2年間分の年金は時効にかかって受け取れませんでした。あくまで本来の請求か繰下げ請求かは意思表示がなかったのだから分からない。よって、本来請求とするほかないという理屈ですね。

それがこの4月からは以下のように変わりました。

もし72歳からの繰下げ請求を選択しない場合は、「自動的に」5年前に繰下げ請求をしたと「みなす」。よって時効にかかる部分はなくなり、5年間相当分、67歳で繰下げ請求したとみなされた分増額された年金を受け取ることができる

一種の救済制度といえるでしょう。

ただし、最後に注意点があります。この仕組みが適用になるのは、あくまで昭和27年(1952年)4月2日以降生まれの方(令和5年(2023年)3月31日時点で71歳未満の方)であるため、今、例示したような、例えば今日現在72歳の方には原則適用されません。その場合旧ルールが適用になります。
令和5年3月31日時点で老齢基礎・老齢厚生年金の受給権を取得した日から起算して6年を経過していない方という例外ルールもあるのですが、ある意味71歳未満の方と同じであるため、救済されるとしてもごくわずかな額となります。