「給料が上がらない時代」の防衛策3つ――“節約”より“制度利用”で変わる手取り
はじめに
「頑張って働いても、手取りが増えない」
「昇給しても、税金と社会保険料で全部消える」
――そんな声を、私は日々の相談でたくさん聞きます。
今の日本は、「名目上は上がっても、実質は下がる」時代です。
物価が上がり、社会保険料も年々上昇。
節約にも限界があり、残業を増やすにも体力的な壁がある。
でも、諦める必要はありません。
この状況を抜け出すためには、「お金を減らさない仕組み」を味方につけること。
つまり、“節約”ではなく“制度利用”です。
ここでは、手取りを守るための3つの防衛策をお伝えします。
第1の防衛策:「社会保険料をコントロールする」
給料明細の「社会保険料」――これ、実は“毎月の税金”より重たい出費です。
たとえば年収400万円の会社員の場合、
所得税よりも社会保険料(厚生年金+健康保険)のほうが2〜3倍高いのが一般的。
では、これを少しでも軽くするには?
▶ポイントは「標準報酬月額」
社会保険料は、4〜6月に受け取る給与の平均で決まります。
つまり、この時期に残業を減らす・手当を調整するだけでも年間の負担が変わる。
また、扶養家族がいる人は「扶養に入れるかどうか」を見直すだけで、
数万円〜十数万円の差になるケースも。
「社会保険料は変えられない」ではなく、「仕組みを知ればコントロールできる」。
ここが最初の防衛ポイントです。
第2の防衛策:「控除を“取りこぼさない”」
手取りを増やすうえで、最も簡単で効果的なのが控除の活用です。
多くの人が簡単な年末調整で終わらせていますが、
そこに**「自分で申告すれば戻ってくるお金」**がまだ眠っています。
代表的なのは――
- 医療費控除
- ふるさと納税(ワンストップ特例の範囲外)
- iDeCo(イデコ)や小規模企業共済の掛金控除(年末調整可)
- 生命保険料控除・地震保険料控除(年末調整可)
控除は、申請しなければ“ゼロ”です。
申告書1枚で「数万円の差」が出る制度も少なくありません。
「節約」は我慢の連続ですが、「控除」は知るだけで得する。
知識こそが最大の節約術です。
第3の防衛策:「会社の外に“収入の土台”をつくる」
今の日本では、給与だけで生活を安定させるのは難しくなっています。
物価上昇・増税・社会保険料の上昇――これは個人の努力では止められません。
そこで重要になるのが、**“制度を使った副収入”や“リスク分散”**です。
たとえば、
- 新NISAを使って「非課税で資産を育てる」
- iDeCoで「税金を減らしながら老後資金をつくる」
- 公的給付(教育訓練給付金、住宅ローン減税など)を積極的に活用する
これらはすべて「国が用意した制度」です。
つまり、“制度を使いこなす人”と“知らない人”の間で、
生涯で数百万円単位の差が生まれていく。
“節約”では限界があるけれど、“制度”には上限がない。
この視点を持てる人が、これからの時代を生き抜きます。
おわりに
給料が上がらないのは、あなたの努力不足ではありません。
社会構造が変わっただけです。
だからこそ、
「働き方を変える」よりも先に、「制度との付き合い方を変える」。
- 社会保険料をコントロールする
- 控除を取りこぼさない
- 制度を使って収入の土台を広げる
この3つを意識するだけで、
今日からの“可処分所得”は確実に変わります。
節約ではなく、制度を味方に。
それが「給料が上がらない時代」を生きる、最も現実的な防衛策です。
