NISAより先にやるべき“社会保険の投資”――「積立」より前に、“守りの資産”をつくる

はじめに

「NISAを始めました!」
「iDeCoも気になるけど、まだ口座は作っていません」

最近こうした声をよく聞きます。
投資を学び、お金を増やそうとする人が増えたのはとても良いこと。

けれど、あえて言います。

NISAの前に、やるべき“投資”があります。

それが、**社会保険という“最強の投資”**です。


第1章 社会保険は“支出”ではなく“投資”

多くの人は、給与明細の「社会保険料」を見てため息をつきます。
「こんなに引かれてる…」
「税金より高いじゃないか…」

確かに、社会保険料は家計にとって大きな負担。
でも、実はそのお金――
いざというときに“何倍にもなって戻ってくる”仕組みになっているのです。

たとえば、社会保険にはこんな“リターン”があります。

  • 💊 病気やケガで働けないときに「傷病手当金」がもらえる(給与の2/3×最長1年半)
  • 👶 出産したときに「出産手当金」「出産一時金」が出る
  • 👨‍👩‍👧 老後には「老齢厚生年金」が受け取れる(国民年金より上乗せ)
  • 🕊️ 万一のときは「遺族年金」「障害年金」で家族を守る

つまり、社会保険は「病気・出産・老後・死亡」すべてに対応する人生トータルの保険兼投資
これを“支出”と見るか、“長期リターンの投資”と見るかで、家計の考え方が180度変わります。


第2章 “社会保険の投資”を怠る人が損をする理由

たとえば、「夫の扶養に入っていたいから130万円の壁を超えたくない」という人も多いでしょう。

しかし実際は、社会保険に自分で加入した方が得なケースも多いのです。

なぜなら――

  • 扶養のままだと自分の厚生年金は増えない
  • 扶養から外れて働けば、自分の年金・医療保障が積み上がる
  • その差は将来、月1〜2万円の年金差になることも

10年続けば、200万円以上の生涯差になることもあります。

つまり、“短期の負担を避けた”つもりが、“長期の損”を生んでしまう。

「壁の中にとどまる安心」は、未来の自分を削るリスクでもあるのです。


第3章 “守りの投資”ができていないと“攻めの投資”は続かない

NISAやiDeCoなどの投資は、「長期的にお金を増やす手段」
しかし、もし病気で数か月働けなくなったらどうなるでしょう?
生活費のために、せっかく積み立てた資産を崩すことになります。

ここで効いてくるのが、社会保険の保障です。

  • 傷病手当金で“生活防衛資金”を守る
  • 出産手当金で産休中の収入を確保する
  • 雇用保険で次の仕事を探す間の生活を支える

こうした「守りの仕組み」があるからこそ、
NISAや投資を**“続けられる”環境**が生まれます。

投資とは、“攻め”だけではなく“守り”を整えてこそ成立する。
社会保険は、その最初の防波堤です。


第4章 まずやるべき3つのチェック

では、“社会保険の投資”を始めるために何を確認すればいいでしょうか?
まずはこの3つです。

  1. 自分の加入状況を知る
     → 厚生年金?国民年金?扶養?
  2. 健康保険の内容を確認する
     → 傷病手当金・出産手当金が出るか?
  3. 会社員なら標準報酬月額を意識する
     → 4〜6月に入る給与で保険料が決まる。残業の時期を調整するだけで負担が変わる。

この3つを知るだけで、**社会保険を「味方にする第一歩」**が踏み出せます。


おわりに

社会保険は「取られるお金」ではなく、
**“人生のリスクを共同で引き受ける投資”**です。

NISAで“増やす”前に、
社会保険で“守る”という基盤を整えること。
それが、最も効率の良い資産形成です。

NISAは“攻めの投資”。
社会保険は“守りの投資”。
両方を理解した人が、最終的に一番お金を残します。