お金の不安は、“お金の量”では解決しない

「あといくらあれば安心できますか?」

お金の相談を受けていると、
心の中で、この質問を投げかけたくなることがあります。

なぜなら――

多くの人が、
お金の不安は「金額の問題」だと思っているからです。

  • もっと貯金があれば安心できる
  • もっと年金があれば不安はなくなる
  • もっと収入があれば心配は消える

しかし、現実は少し違います。

相談現場で見てきたのは、
お金が増えても、不安が消えない人がいるという事実です。


貯金が増えても、不安は消えない

たとえば、

  • 貯金が3,000万円ある人が不安を口にする
  • 年金が月20万円以上ある人が将来を心配する

一方で、

  • 貯金がほとんどなくても
  • 年金が少なくても

穏やかに暮らしている人もいます。

この違いは、
単純な「お金の量」では説明できません。


不安は「不足」ではなく「不確実性」から生まれる

人がお金に不安を感じるとき、
本当に怖れているのは、

足りないこと

ではありません。

分からないこと

です。

  • この先、何が起きるのか
  • 病気になるかもしれない
  • 物価が上がるかもしれない
  • 長生きするかもしれない

未来が見えないこと自体が、
不安の正体です。

だから、
いくらお金を増やしても、

これで十分だ

という確信は、なかなか持てない。


「もっとあれば安心できる」は終わりがない

お金の不安を、
お金の量で解決しようとすると、

あと少し
もう少し

という感覚が続きます。

100万円が不安だった人は、
200万円になっても安心できない。

200万円が不安だった人は、
500万円になっても安心できない。

これは、
欲張りだからではありません。

不安の原因が、
金額ではないからです。


不安が消えない人の共通点

相談を受けていて感じるのは、

不安が消えない人には、
ある共通点があります。

それは、

お金を「コントロールできないもの」と感じている

ということです。

  • 制度が分からない
  • 将来の見通しが立たない
  • 何を基準に判断すればいいか分からない

この状態では、
お金がいくらあっても、
安心は生まれません。


逆に、不安が少ない人の特徴

一方で、

必ずしも裕福ではなくても、
不安が少ない人もいます。

その人たちは、

  • 自分の収入を把握している
  • 支出の範囲を理解している
  • 制度をある程度知っている

つまり、

お金の流れが見えている

のです。

未来を完全に予測できなくても、
今の位置が分かっていれば、
過度な不安は生まれません。


お金の不安を減らすのは、「量」ではなく「理解」

ここが重要です。

不安を減らすのに必要なのは、

お金を増やすこと
ではなく
お金の状況を理解すること

です。

  • 自分の年金はいくらか
  • 支出はどれくらいか
  • どの制度が使えるのか

これらが見えてくると、

不安は、
「正体の分からないもの」から
「対処できるもの」に変わります。


「ゼロ不安」は存在しない

どれだけ準備しても、
不安をゼロにすることはできません。

これは、
お金に限った話ではありません。

大切なのは、

不安があっても、生活が成り立つ状態

を作ることです。

不安が完全に消える日を待つより、
不安と共存できる状態を整える方が、
はるかに現実的です。


おわりに

お金の不安は、
お金そのものから生まれているわけではありません。

分からないこと
見えないこと

から生まれています。

だから、

お金を増やすことだけに集中すると、
不安は解決しないまま残ります。

むしろ、

  • 自分の状況を知ること
  • 制度を理解すること
  • 見通しを持つこと

これらが、
本当の意味での安心につながります。

お金の量は、
安心の条件の一つに過ぎません。

しかし、
安心そのものではない。

この違いに気づくだけでも、
お金との向き合い方は、
大きく変わっていきます。