会社員でも“控除を取りこぼす”人の共通点――「年末調整で完璧」ではありません
はじめに
「会社が年末調整してくれてるから大丈夫」
――そう思っていませんか?
実は、年末調整だけではすべての控除を網羅できません。
むしろ、会社員こそ“控除を取りこぼす人”が多いのです。
私は多くの方の相談にのっていますが、
「もっと早く知っていれば数万円戻ってきたのに…」というケースが本当に多い。
今日は、“取りこぼす人の共通点”と、
“今日からできる取り戻し方”をお伝えします。
第1章 「年末調整=完璧」という思い込み
まず、年末調整の目的はあくまで、
**「会社が代わりに所得税を精算してくれる」**というもの。
対象になるのは、
- 配偶者控除・扶養控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
など、会社が把握できる範囲の控除だけです。
つまり、次のような控除は年末調整には含まれません。
- 医療費控除
- 寄附金控除(ふるさと納税など)
- 雑損控除(災害・盗難など)
これらを使うには、自分で確定申告をする必要があります。
「会社に任せている=全部済んでいる」ではないのです。
第2章 取りこぼす人に共通する3つの特徴
①「レシートを取っておかない」
医療費控除を受けるためには、医療費の記録が必要です。
でも、多くの人が「レシートがバラバラ」「まとめていない」という理由で諦めています。
医療費控除の対象は病院代だけでなく、
薬局での購入・通院交通費(電車・バス)なども含まれます。
年間10万円を超えたら申告のチャンス。
※所得によっては10万円未満でも対象になります。
控除の第一歩は、「レシートを取っておく」だけ。
②「ふるさと納税を“ワンストップ”で止めている」
ふるさと納税をしたとき、5自治体以内なら「ワンストップ特例」でOK。
でも、6自治体以上に寄附すると確定申告が必要です。
また、ワンストップ申請を出し忘れた場合も、
確定申告をすれば控除が受けられます。
「面倒だから」と放置すると、
せっかく寄附したお金が“ただの寄附”で終わってしまう。
控除は「やった人」ではなく、「申請した人」にしか戻ってこない。
③「iDeCo・NISA・保険を“やりっぱなし”にしている」
せっかくiDeCoを始めても、
年末調整で控除申告書を提出しなければ控除が反映されません。
また、生命保険料控除も「保険会社から届いた控除証明書」を出さなければ無効。
NISA・iDeCo・保険は“始める”より“管理する”が重要です。
「やってる=活用できている」ではない。
“運用”ではなく“制度利用”で損している人が多いのです。
第3章 控除を“取り戻す”3つのステップ
① 確定申告アプリを使う
国税庁の「確定申告書作成コーナー」やマイナポータル連携を使えば、
レシートなしでも医療費やふるさと納税が自動入力できます。
e-Taxならスマホで完結。
もう紙と格闘する時代ではありません。
② 「3月15日」を過ぎても諦めない
還付申告は5年間有効。
つまり、過去5年分の取りこぼしを取り戻せるのです。
「去年のふるさと納税、申請し忘れた!」と思ったら、今からでも遅くありません。
③ 家族全員で“控除会議”を開く
医療費・保険料・寄附金などは、
誰の名義で払ったかで控除の対象者が変わります。
家族で分担を話し合うだけで、トータル還付額が増えるケースも。
控除は“個人戦”ではなく“チーム戦”です。
第4章 「控除を知る人」が一番お金を守る
控除とは、“お金を減らさないための制度”です。
節約よりも確実で、投資よりもリスクが低い。
- 節約は「支出を減らす」
- 投資は「資産を増やす」
- 控除は「税金を戻す」
つまり、控除は“第三の収入”。
知っているだけで、毎年数万円の“隠れボーナス”が生まれます。
「難しいからやらない」ではなく、「やらないから損している」。
知ること自体が、最大の節税です。
おわりに
会社員であっても、
お金の流れはすべて会社任せにしない時代になりました。
- 医療費
- ふるさと納税
- iDeCo・保険料控除
この3つを押さえるだけで、“控除の9割”は取りこぼさなくなります。
“手取りを増やす”より、“手取りを減らさない”。
それが、いま求められるリアルなマネー戦略です。
