年収(103万円など)の壁

それ以上働くと「働き損」とよくいわれる、いわゆる「年収の壁」についてまとめてみました。ちなみに年収額は手取りではなくいわゆる額面額です。

103万円の壁

この額を超えると、自分自身に所得税が発生する金額。
また、配偶者が受けられる「配偶者控除」の種類が配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わります
ここでは、配偶者には特に影響は出ず、自分の収入に所得税がかかるようになるだけですが、就業調整をはじめる人が現れます。
ちなみに、このあたりの年収額だと通常所得税率は5%なので、収入が1万円増えても所得税は500円かかるようになるのみなので、さしたる影響はありません。
ただし、配偶者手当の支給基準を配偶者年収103万円基準にしている会社が割とあるため、その点は注意が必要です。

106万円の壁

正確な定義は月あたり8.8万円です。
従業員101人以上の会社に勤めていて、かつ他の要件も満たすと、週20時間以上働いている場合、自分自身に厚生年金・健康保険への加入義務が生じます。と同時に、国民年金第3号被保険者ではなくなり、自分自身の給料から社会保険料を支払うことになります。これを避けるために、週20時間未満の勤務に変更するなどの就業調整は割と多くみられます。
ちなみに、ここで多い誤解は実際の収入額で判断しようとするもの。それだとその月たとえば残業代が多いと基準額オーバーということになってしまいますが、そのようなルールにはなっておらず、おおまかに説明すると、残業代は含まない金額で判断されます。ただし恒常的に残業が続くと、この社会保険への加入要件逃れともとらえかねないので注意が必要です

130万円の壁

自分自身の収入が130万円を超えると、社会保険上の配偶者等の扶養家族から外れなければならない基準額。自分自身で年金・健康保険の保険料を支払う必要が出てきます。ちなみに、この額は、月換算すると108,333円といった金額となります。
よくある誤解として、その年の収入合計が130万円を超えなければよいというものがありますが、正確には誤りで、月換算した収入がこの約10.8万円を超えると、本来扶養家族から外れる必要があります(1か月単位でも)。ただし一部の健康保険組合では、被扶養者の定義を緩くして、年合計で130万円を超えなければOKとしているところがあるのは確かです。ちなみに協会けんぽの公式見解は月ベースで約10.8万円を超えると扶養者ではなくなる、です。
無料だった社会保険料がまるまるかかるようになるわけですから、就業調整する人がいちばん多い基準額ではあります

まとめ

税金の面はあまり気にする必要はないでしょう。
ただし、額面額に対して約15%の社会保険料がかかるようになるのは確かです。
でもメリットもあります。
①将来自分自身がもらえる老齢厚生年金が増える(ただし厚生年金加入期間20年を境に配偶者の老齢年金額が大きく変わるため注意は必要)
②自分自身で健康保険に加入することで、傷病手当金をはじめ各種給付が受け取れるようになる
③いざというとき、障害厚生年金の受給資格が発生するようになる

以上のことを考慮されたうえで、ご判断なさってください!