「制度を知っている人」と「得をする人」は、別物です

年金、保険、税金、社会保障。
これらの制度について、よく聞く言葉があります。

制度をちゃんと知っていれば、損しない

一見、もっともらしい話です。
ですが、実務の現場にいると、
この言葉には大きな誤解が含まれていることに気づきます。

結論から言えば、

制度を知っている人と、実際に得をする人は、まったく別物です。

今日は、その理由を整理します。


「知っている人」は、意外と多い

まず前提として。

制度について

  • 名前を知っている
  • 仕組みを説明できる
  • ニュースや解説動画を見ている

こうした人は、今や珍しくありません。

  • 在職老齢年金
  • 高額療養費制度
  • 配偶者控除
  • 扶養の壁

これらの言葉を知らない人の方が、
むしろ少数派でしょう。

しかし、
知っている=使えている
とは限りません。


得をする人は「動いている」

制度で得をしている人には、
はっきりした共通点があります。

それは、

  • 自分で確認する
  • 自分で選ぶ
  • 自分で手続きをする

という行動を取っていることです。

制度は、
申請しないと始まらないもの
選ばないと適用されないもの
がほとんどです。

どれだけ詳しく知っていても、

まあ、そのうち
面倒だから
今はいいや

で止まれば、結果はゼロです。


「知識」が邪魔をすることもある

皮肉な話ですが、
制度をよく知っている人ほど、

これは自分には関係ない
これは条件に当てはまらないはず

と、最初から可能性を閉じてしまう
ことがあります。

  • 例外規定
  • 経過措置
  • 個別事情

制度は、
教科書通りに当てはまることの方が少ない。

それでも、

自分は分かっている

という感覚があると、
確認そのものをしなくなります。


得をする人は「完璧」を求めない

もう一つの大きな違いがあります。

それは、
得をする人ほど、完璧な理解を求めない
という点です。

  • 全部分からなくてもいい
  • 細かい理屈は後回し
  • まずは使えるかどうか

この割り切りができる人は、
行動が早い。

一方で、

ちゃんと理解してから

と言い続ける人ほど、
何も起きません。


制度は「平等」だが、結果は平等ではない

多くの制度は、
建前上は「誰にでも開かれている」ものです。

しかし実際には、

  • 知っている
  • 動ける
  • 調べられる
  • 聞ける

人ほど、結果を得やすい。

これは不公平に見えるかもしれませんが、
制度の現実でもあります。

制度は、
使われて初めて意味を持つ
という性質を持っているからです。


「得をする人」は制度に期待しすぎない

もう一つ、重要な点があります。

得をする人は、
制度に過度な期待をしません。

  • 万能だとは思っていない
  • 完璧な救済を期待しない
  • ダメなら次を考える

だから、
制度に裏切られたという感情も持ちにくい。

一方で、

制度があるなら守られるはず

という期待が強い人ほど、
うまくいかなかったときに
強い不満を感じます。


「知っている人」が陥りやすい落とし穴

最後に、
制度を知っている人ほど陥りやすい
落とし穴を挙げておきます。

  • 情報収集で満足してしまう
  • 他人の事例で判断する
  • 自分の状況を当てはめていない

制度は、
個別事情が9割です。

一般論をいくら知っていても、
自分の話に落とさなければ、
結果は変わりません。


得をするかどうかは「立ち位置」で決まる

ここまで読んで、

得をする=ずるい

と感じたなら、
それも少し違います。

得をする人は、

  • 制度を利用している
  • 自分の状況を把握している
  • 現実的な期待値で動いている

ただ、それだけです。

知識の量ではありません。
使い方の問題です。


おわりに

制度を知ることは、
スタート地点に立つための条件にすぎません。

そこから、

  • 動くか
  • 確認するか
  • 使ってみるか

で、結果は大きく分かれます。

「知っているのに、何も変わらない」
と感じているなら、
それはあなたが怠けているからではありません。

制度は、知識より行動に反応する。

その前提を知っているかどうかが、
一番大きな差なのかもしれません。