このページでは、年金にまつわる比較的新しい情報、さらには年金を今から増やすワザといったようなことをまとめてみました。

年金最新情報

最近の(2022年4月)年金改正の中からいくつかの項目を選びまとめてみました。

1 在職定時改定

65歳以降厚生年金加入したうえで継続して勤務した場合、1年ごとにその1年間分の厚生年金加入記録を加算し改定するという仕組みです。従来は退職するか(厳密には喪失)、70歳にならないと年金額改定は行われなかったのですが、毎年改定することで、結果として受け取れる年金額が毎年増えていくという制度変更です。ちなみに毎年10月分から改定されます。

2 繰下げ受給の上限年齢最大75歳に

従来は70歳までの5年繰下げが上限でしたが、これを5年延ばして75歳にするというものです。
繰下げに伴う割増率は1か月あたり0.7%のまま変わらないため、75歳まで10年延ばした場合の増額率は84%となります。
ただし2022年3月31日時点で、70歳になっていない方(1952年4月2日以降生まれの方)または受給権を取得した日から5年経過していない方が対象です。

3 繰上げ受給の減額率0.4%へと圧縮

従来は本来65歳から受給開始のところ、1か月あたり0.5%の減額率でしたから、0.1%ほど圧縮したことになります。よって、従来は60歳から5年繰上げて受給開始すると30%減額されましたが、これが24%減額になったことになります。ただし、2022年3月31日時点で、60歳に達していない方(1962年4月2日以降生まれの方)が対象となります。

4 在職老齢年金(60歳以上65歳未満)支給停止額の変更

厚生年金加入しながら老齢厚生年金を受給すると年金が一部減額されるという制度ですが、その基準額が基本28万円でした。これを65歳以上の方の場合と同じ額に変更(2022年度は47万円、2023年度は48万円に変わります)するものです。これで、厚生年金加入しながら働いても年金が減額されるケースが大幅に減ったことになります。

年金を増やす方法

少しでも公的年金を増やす方法を60歳以上と60歳未満に分けてまとめてみました

60歳以上の場合

1 厚生年金に加入する

今までは配偶者の扶養に入られていて年金保険料を払ってこなかった方も多いと思います(第3号被保険者)。ただし国民年金は60歳までなので、そのままですとそれ以上年金は増えないことになります。なので発想を変えて60歳以降は厚生年金に入る形で働かれるというのはいかがでしょうか。いわゆる4分の3ルールに達しなくても、一定以上の規模の会社だと週20時間以上などの条件を満たせば厚生年金加入となります。ただしこの場合健康保険の方も扶養から外れることになりますので、ご留意ください。

2 国民年金に任意加入する

国民年金は40年加入するまでは、それに足りない月数を65歳まで加入することができます。将来の老齢基礎年金の額を増やすことが可能となりますので検討の余地は大きいです。特に以前は大学生は加入義務がなかったため、20歳以降の2~3年間分「未納」になっている場合がとても多く、そのままですと、老齢基礎年金は満額には決してなりません。なお、2年以上任意加入可能な場合「2年前納」という割引額最大の方法で保険料をまとめて支払ってしまうのも1つの方法です。

あわせて付加年金という2年でモトが取れるといわれる年金に加入することも可能な場合があります(条件を満たした場合)。2年前納も活用可能です。ただし厚生年金に加入されている場合は、この任意加入はできません。

3 年金の受給開始を遅らせる(繰下げ)

年金の受給開始年齢は原則65歳からですが、これを後に遅らせることで増額した年金を受け取ることが可能です。年金は保険ととらえていただき、まだ働いているなどの理由でただちに年金を受け取る必要がない方の場合は、一旦年金受給開始を見合わせるのも手です。特に高い給与水準でどのみち年金が止まってしまう方の場合効果大です。

ただし以下の点にご留意ください
・配偶者加給年金がある方は老齢厚生年金を繰り下げると、加給年金も払われません。
加給年金は40万円近い額のため影響大です。その場合、老齢基礎年金だけ繰り下げるという手もあります。
・振替加算がある方は老齢基礎年金を繰り下げると、振替加算も払われません。
加給年金同様、留意していただく必要があるでしょう。ただ振替加算の額も年々減ってきていますので、以前に比べれば影響は小さくなってきています。
・仮に在職老齢年金で全額(一部)停止になるからという理由で老齢厚生年金の繰下げを選択しても、全額(一部)停止となった期間分は繰り下げたということにならず、思うような増額にはなりません。ただし、老齢基礎年金は繰下げ関係ありませんので、繰り下げた分増額となります。
・繰下げで増額された年金を受け取ると、思った以上に所得税、社会保険料等が上がり、手取り額で考えると大した増額にならない可能性があります。そのことも留意したうえで、○年繰り下げるか判断されることをオススメいたします。

4 iDeCoと老齢年金の請求時期をずらす

iDeCoと(公的)老齢年金をまとめて受け取ると、その期間は受け取り(所得)額が大きく上がり、それが所得税、社会保険料に反映され、思ったほどの手取り額にならない場合があります。それを防ぐために、例えば、まずは繰下げという考え方のないiDeCoを年金形式で受け取り、受け取り終わった頃、今度は繰り下げていた公的老齢年金を受け取り始めると、思わぬ所得税、社会保険料の控除に遭遇せずとも済むことがあります。

60歳未満の場合

1 厚生年金に加入する

扶養に入るために勤務調整される方もいらっしゃいますが、いっそ厚生年金加入を前提にがっちり働くのも手でしょう。その方が将来の年金額は増えます。確かに3号と比較すると厚生年金保険料分は出費増となりますが、障害厚生年金や健康保険の傷病手当金受給の可能性も残すことになり、実は保険としてのメリットが大きいです。

2 <国民年金>免除・猶予などされた期間分を追納する

追納(ついのう)と読みます。学生時代の学生納付特例(学特)も含め、免除・猶予された期間は、加算金が付く場合もありますが、過去10年分までさかのぼって追納することが可能です。特に猶予・学特の期間は、そのままにしておくと1円も年金額に反映されないため、後から払った場合効果絶大です。(通常の全額免除は、その期間分については、本来の年金額の半額だけ受け取ることができる)

3 <国民年金>付加年金を追加する

付加年金と呼ばれるオプション的な年金があります。昔国民年金保険料が月1000円だった頃から保険料は変わらず月400円です。1か月入るごとに年金額が200円増えていくので、よく2年で元が取れるといわれています。前納も可能です。ただし、国民年金基金との同時加入はできません。