2023年12月11日現在、政府や与党等から案の出ている、子育て世帯向け公的支援策をまとめてみました。正式に決定したものではないため、今後内容の変更があることが予想されますので、あらかじめご了承ください。
子育て世帯向け公的支援一覧
主だった現在報道等されている子育て世帯向け公的支援案は以下のとおりです。
①高校生世代への児童手当支給対象拡大
②生命保険料の控除拡大
③住宅ローン減税の現状維持
④住宅ローン「フラット35」の金利引き下げ
⑤住宅取得のための子や孫への資金贈与
贈与税非課税対象措置の延長
⑥多子世帯の大学学費無償化
⑦育児休業給付の支給額拡大
①高校生世代への児童手当支給対象拡大
児童手当は、従来15歳までが支給対象となっていました。市区町村などが独自に手当を支給するところが増える中、ついに国自体が児童手当について18歳までを支給対象とすることになりました。
子1人あたり月1万円が支給され、さらに第3子以降になると月3万円に増額されます。
この子の数え方については、従来子が高校を卒業すると子の加算対象から外れたため、なかなか増額対象となる第3子にならなかったのですが、子のカウント対象を22歳まで広げることで、確実に18歳以下の第3子に増額となる児童手当を支給するように改められる見通しです。
なお、この児童手当の対象拡大については、2024年12月支給分(10月分・11月分)からが予定されています。
扶養控除縮小
この児童手当の高校生世代への支給拡大を受けて、この世代に対する扶養控除額が縮小となる見通しです。ただ、このマイナス面を補うくらい児童手当は支給されますので、トータルではプラスになるという論法です。
案段階では、所得税は現在の38万円から25万円に、住民税は33万円から12万円に縮小予定です。
例えば、所得税率10%の世帯だと、
プラス要素 児童手当月1万円増→年12万円
マイナス要素 所得税(38万ー25万)×10%=年1.3万円所得税増
住民税(33万ー12万)×10%=年2.1万円住民税増 計3.4万円増
12万円新しくお金が入り、新しく出ていくお金が3.4万円ですから、差し引きはプラスです。
ややこしいですけどね。
②生命保険料の控除拡大
所得税の生命保険料控除には、①一般保険料控除、②医療介護保険料控除、③個人年金保険料控除とあるのですが、この合算が最大年12万円となっています。
これを子育て世帯に限り、年16万円に拡大しようという案です。
仮に税率20%とすると、(16万-12万)×20%=8千円/年となります。
ささやかな額ではありますが、それでも減税は減税ですね。
③住宅ローン減税の現状維持
現在行われている住宅ローン減税は、2023年から2024年にかけてその内容がかなり変わり、簡単にいうと、減税額が減らされる予定でした。それを子育て世帯等に限ってはそのまま(現状維持)にしようというものです。
例えば、新築の場合、省エネや耐震性能などに優れる「長期優良住宅」は、2023年までの入居だと5千万円ですが、2024年からは4500万円に縮小される予定です。また、太陽光発電設備などによってエネルギー消費量を実質ゼロにする「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」水準の住宅は、2023年までが4500万円ですが、2024年からは3500万円となる予定です。
この減税幅の圧縮が子育て世帯等に限っては、なくなるというお話です。(まだ案段階)
④住宅ローン「フラット35」の金利引き下げ
子育て世帯等が良質な住宅を取得する際に、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローン「フラット35」について、こどもの人数に応じて金利を引き下げる制度を 2023 年度中に開始する予定になっています。
⑤住宅取得のための子や孫への資金贈与 贈与税非課税対象措置の延長
住宅取得という目的のためなら、本来贈与税がかかる額でも子や孫なら贈与税がかかることなく、一定額の贈与が可能という制度です。(省エネ等住宅で1,000万円、一般の住宅で500万円)
この制度の2024年以降への延長が取り正されているというお話です。
ただ、まだこの延長については、他の施策の影に隠れて、目立つ話にはなっておりません。
⑥多子世帯の大学学費無償化
多子世帯(3人以上の子がいる世帯)の子の大学学費等を無償化するという案。一連の子育て支援策の中では最近出てきたものです。
2025年度からの実施予定。入学料や授業料を無償にするもので、国公立は1人あたり年54万円まで、私立は年70万円を上限に授業料を補助するという案です。
⑦育児休業給付の支給額拡大
現在最大元の賃金の67%を支給している育児休業給付の支給率を80%とし、手取りベースでは、元の手取り額とほぼ同じ水準とする案が出ています。育児休業期間中は社会保険料(厚生年金・健康保険)の支払いが免除となっているため、支給率を80%とすれば、手取りベースでは、ほぼ同一の水準が確保されるというものです。
また、育児時短就業給付という新給付を設け、2歳までの子を養育する親が時短勤務をする場合、その時受ける賃金の1割相当を追加給付することにより、時短分の賃金減収を補おうとするものです。
まとめ
児童手当はほぼ本決まりですが、他の施策については、各省庁なり、政府・与党なりが案として出している段階のものもあり、まだまだどうなるかは流動的です。よって、みなさま方におかれましては、報道等に注目されるのもよろしいのではないかと思います。
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